高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態です。人の血圧は、刻一刻と変化しており、朝、緊張しているとき、ストレスがかかっているときなどは高くなっていますし、夜リラックスしているときには、低くなっています。ですから、一度血圧を測って高かったからといって、すぐに高血圧とは判断できませんし、その後に基準値内に下がれば、高血圧ではありません。血圧がいつも高い状態が続いていることが病気なのです。
高血圧は日本人にはとても多い病気で、40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧と言われます。
高血圧は放っておくと、つねに血管に刺激がかかって、動脈が傷みやすくなるのが、大きな問題です。それと同時に、血液を高い圧力で送り出しているのは心臓ですから、心臓が多くのエネルギーを必要とし、疲れやすくなります。つまり高血圧は、血管や心臓に障害をもたらすのです。その結果、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳出血、脳梗塞の原因になったりします。
腎臓にも負担がかかります
腎臓も動脈硬化の影響を大きく受ける臓器です。腎臓は、血液の中から不要な老廃物や有害物質を濾過して取り出し、それを尿にして体外に排出するはたらきを担っている臓器です。そのため腎臓の本質部分は、毛細血管のかたまりのようになっています。ですから、動脈硬化が起こって血液の流れが悪くなると、腎臓のはたらきは、ぐんと落ちてしまいます。
高血圧の治療が進んで、昔に比べれば腎臓病になる確率は減っているものの、一方では高血圧の人が長生きするようになっています。そのため、今でも人工透析を受ける原因の第3位は高血圧などによる腎硬化症(2002年/不明分を除く)で、1993年からの10年間に約2.5倍に増えています。
高血圧の危険因子
遺伝、肥満、耐糖能異常(糖尿病予備群)、ストレス、喫煙、塩分の多い食事、飲酒の習慣などは高血圧の危険因子と言われ、これらを多く持っている人ほど、高血圧になりやすいと考えられます。
両親がそろって高血圧の場合、その子どもが高血圧になる確率は約50%、片親だけが高血圧の場合にその子どもが高血圧になる確率は30%前後というデータもあり、遺伝性があるのは確かなようです。しかし、確率が50%であれば、両親ともに高血圧であっても、子どもが高血圧になるかならないかは半々です。遺伝があっても、その他の環境的な危険因子をなくせば、高血圧にならずに済むというわけです。その逆に、親が高血圧でなくても、子どもが高血圧になることもあります。親にも高血圧の体質はあったものの、環境因子が整っていたお陰で現れずにいた場合には、子どもが不摂生な生活を送れば、高血圧になるハードルは高くない、と言うわけです。
高血圧の治療
まず行うべきは、上記のような高血圧の危険因子を知って、その上で適正な体重にし、適度な運動を心がけ、減塩に努めるなどの生活改善を心がけることです。
また、医師から薬を処方されたら、指示通りしっかり飲むことも大切です。一度薬を飲み始めると、一生やめられないと思っている方が少なくないようですが、だんだんと良くなって来れば、量を減らしたり、やめたりすることも可能です。一度降圧薬を服用し始めたら飲み続けなくてはいけないと考えるのではなく、薬がやめられるように日頃の摂生をすることが大切なのです。
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