脂質異常症というのは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪(トリグリセリドなど)が、多過ぎる病気のことです。
脂質異常症を放置すると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まって動脈硬化を招いてしまい、そのまま進行すると、ついには心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こしかねません。
脂質異常症は動脈硬化の大きな危険因子
日本人の死因の第2位と3位を占めているのは、狭心症や心筋梗塞などを含めた心臓病と、脳出血や脳梗塞などの脳卒中です。これらはいずれも、主に動脈硬化が原因となって起こる血管の病気です。死因の1位はがんですが、心臓病と脳卒中を合わせると総死亡の約30%を占めるので、動脈硬化を防ぐことは、とても重要です。
さらに動脈硬化は、高血圧を悪化させたり、腎臓病などの原因となったりします。
動脈硬化というのは、心臓から体の各部分に血液を運ぶ動脈が硬くなる疾患です。動脈の内側の壁にコレステロールが溜まって血管が盛り上がって狭くなり、それとともに血管が硬くなり、もろくなります。そのため、血液が流れにくくなったり、血管に血栓(血のかたまり)が詰まりやすくなったりするのが大きな問題なのです。
動脈硬化は、さまざまな危険因子が重なり合って起こります。ですから、それらの危険因子を除いていけば、ある程度防げるのです。高血圧が動脈硬化の大きな危険因子の一つだということはよく知られていますが、脂質異常症も重大な危険因子です。ですから脂質異常症は、自覚症状がまったく無くても、早く見つけて治療にとりかかることが重要です。
脂質異常症の治療
治療としては、冠動脈の病気などの明らかな動脈硬化の病気が無い場合には、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。
生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化が進むのを防ぐのが目的です。ですから、動脈硬化を促進するほかの要素――高血圧、耐糖能異常、肥満なども改善できるよう、生活を改善します。
その主な内容は、禁煙、食生活の改善、適正体重の維持、適度な運動です。なかでも特に重要なのが食事(食事療法)で、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。
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