糖尿病とは、体を動かすエネルギー源であるブドウ糖を細胞が取り込めなくなって、血液中に溢れてしまう病気です。
健康な人なら、インスリンというホルモンがしっかりはたらき、血液中のブドウ糖を細胞に送り込んでエネルギー源にしたり、あるいは脂肪やグリコーゲンという物質に変えて蓄えたりします。このインスリンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなったりした状態が糖尿病なのです。
糖尿病は現在のところ、完治させることはできません。ただ、糖尿病そのものを治すことはできなくても、血糖値を正常に保ち、怖しい合併症(下記ご参照)も起こさずに健康を維持することは十分に可能です。そして血糖値を正常に保つ上で重要になるのが、継続的な"コントロール"です。医師の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を行います。これだけで正常値になる患者様も多いものです。糖尿病が進行したケースだったり、食事・運動療法だけでは血糖値がうまく下がらなかったりしたような場合には、薬物療法やインスリン療法を行うことになります。
当院では糖尿病コントロールの重要な指標として欠かせない、HbA1c*(ヘモグロビン・エーワンシー)測定について、迅速検査機を導入しており、診察当日に結果をご説明できます。
※HbA1c;ヘモグロビン(Hb)とは、血液の赤血球に含まれているタンパク質の一種です。これは、酸素と結合して酸素を全身に送る役目を果たしています。このヘモグロビン(Hb)は、血液中のブドウ糖と結合するという性質を持っています。そのブドウ糖と結合した物の一部分が、ヘモグロビンA1cです。通常、赤血球の寿命は4ヶ月と言われていますが、その間に赤血球は血管の中をグルグル周っていきます。その時に、血液中の余分のブドウ糖と次々に結合して いきます。高血糖状態が長く続くとヘモグロビンとブドウ糖は、どんどん結合していきます。つまり、血液検査の結果、このHbA1cの値が高ければ高いほどたくさんのブドウ糖が余分に血液中にあってヘモグロビンと結合してしまった、ということなんです。正常な人であれば、HbA1c値は 6.2%以下とされています。
一方、それ以上の数値ですと、高血糖状態が続いていた、ということになります。この数値が、8.4%を超えた状態が長く続きますと、色々な合併症を起こすと言われていますので、糖尿病の治療はこの数値を下げることに主眼がおかれています。
糖尿病の三大合併症
糖尿病網膜症
目の内側には、網膜という膜状組織があり、光や色を感じる神経細胞が敷きつめられています。高血糖の状態が長く続くと、ここに張り巡らされた血管が損傷を受け、視力が弱まります。進行すると大出血や網膜剥離を引き起こしたり、中には失明に至ったりするケースもあります。また、白内障になる人も多いと言われます。
糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が無いことも少なくないので、「まだちゃんと見えているから大丈夫」といった自己判断は危険です。糖尿病の人は、目に特別な異常を感じていなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査などを受ける必要があります。
糖尿病神経障害
足や手の末梢神経障害が主なものですが、その症状の出方はさまざまで、「手足のしびれ」「けがややけどの痛みに気づかない」などです。そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、ED(勃起不全)など、さまざまな自律神経障害の症状が現れます。
糖尿病腎症
おしっこを作る腎臓の糸球体(しきゅうたい)という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんに尿が作れなくなります。これを腎不全と言いますがそれが悪化すれば、人工透析を受けなければならなくなります。週に2~3回、病院で透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響が及びます。現在、人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。
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