循環器とは、心臓から血液が送り出されて体じゅうを巡る、その経路のことを言います。したがって循環器内科・心臓内科では、主に心臓や血管の病気を診ます。
心臓の拍動リズムがおかしくなる不整脈も循環器内科・心臓内科で扱います。
また、血管の病気(動脈硬化など)の原因となる高血圧、脂質異常症、肥満症、メタボリックシンドロームに関するご指導も行います。
高血圧や不整脈などがあって、循環器疾患に対するリスクの高い方は、定期的に循環器内科・心臓内科への受診をお勧めいたします。
次のような症状の患者様はお気軽にご相談ください
- 胸が痛んだり、締めつけられたりする
- 少し動いただけでも息切れがする
- 動悸がする
- 脈が乱れる
- 手足や顔がむくむ
- 血圧が高い
- 失神した
- 健診で心電図異常などを指摘された
- 胸部X線写真で異常を指摘された など
高血圧
高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態です。
高血圧は日本人にはとても多い病気で、40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧と言われます。
高血圧は放っておくと、その高い圧力によって血管にストレスがかかり、動脈硬化が生じて心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、または脳出血、脳梗塞の原因になったりします。
まず行うべきは、適正な体重にし、適度な運動を心がけ、減塩に努めるなどの生活改善です。
また、医師から薬を処方されたら、指示通りしっかり飲むことも大切です。一度薬を飲み始めたら、一生やめられないと思っている方が少なくないようですが、だんだんと良くなって来れば、減らしたり、やめたりすることも可能です。一度降圧薬を内服し始めたら飲み続けなくてはいけないと考えるのではなく、薬がやめられるように日頃の摂生をすることが大切なのです。
狭心症
狭心症は、心臓の冠動脈(心臓の上に冠のように乗っており、心筋に酸素と栄養を供給している動脈)の血流が不足することによって、心筋が酸素不足に陥る疾患です。主に動脈硬化のために冠動脈の血管が狭くなり、心臓への血液の流れが一時的に滞るために発症します。狭心症を放置すると冠動脈が閉塞して心筋梗塞となり、命にもかかわる危険な状態になります。したがって狭心症の段階で、しっかり治療しておくことが肝心です。
狭心症の症状は、普通は「労作性狭心症」と言って労作時(体を動かしたとき)、つまり急ぎ足で歩いたり、階段や坂道を登ったりしたときなどに起こり、胸の中央部辺りが締め付けられる、あるいは何かを押しつけられているような圧迫感が感じられます。少し休むと収まってしまうのが特徴です。
痛みはしばしば左肩・腕や顎まで広がり、みずおちに胃の痛みのようなものが感じられることもあり、息切れとして自覚されることもあります。症状の持続時間は、数十秒から数分程度です。
一方「安静時狭心症」と言って、同じような症状が労作と関係なく出ることがあります。これは「冠攣縮」、つまり冠動脈が痙攣したように収縮してしまい、動脈硬化で細くなったときと同様の狭窄が一時的に作り出されるために起きる現象です。
狭心症の主な検査には、心電図、運動負荷試験(トレッドミル・エルゴメータなど)、RI(ラジオアイソトープ)負荷検査、ホルター心電図、冠動脈造影(CTまたは心臓カテーテルによる)などといった方法があります。
狭心症の治療法についてですが、狭心症の元々の原因は多くの場合、動脈硬化です。いったん起こった動脈硬化を元通りにすることは現時点ではまだ不可能です。ですので、今後動脈硬化がこれ以上進まないように努力する、ということが治療の大前提になります。
そのためには高血圧・脂質異常症・糖尿病などを治療し、さらに禁煙・適正体重の保持・適度な運動などを行うことによって、危険因子を可能な限り減らすことが最も重要です。
それらを踏まえた上で、薬物療法をはじめとする治療が行われます。
心不全
心不全とは、心臓(心筋)の収縮、拡張機能が低下し、全身の組織に十分な血液を送り出せなくなった状態を言います。
心不全の症状は、原因によっては突然出現することもありますが、多くはゆっくりと現れてきます。心不全の症状には、まず血液を送り出す能力の低下による症状があります。疲れやすい、だるい、動悸がする、などです。
もう一つ、うっ血による症状があります。肺にうっ血が生じると息切れや息苦しさが起こり、体の各部分にうっ血が起こると、むくみが出ます。肝臓や胃腸にうっ血が起こって腫れてくると、おなかが張ったり、吐き気を起こしたり、食欲が落ちたりします。こうした症状の出方は、心不全の重症度によって異なってきます。心不全の初期には、平地を歩く時にはなんともないのですが、階段を上ったり、重いものを持ったりすると、息切れが起こります。この時点で、一度、医師に相談していただきたいと思います。
心不全の原因はさまざまで、ほとんどすべての心臓病が、最終的には心不全をきたします。心不全には原因とは別に「誘因」があります。誘因とは、心臓のポンプ機能の低下はありながらも安定していた状態を、急に悪化させるきっかけのことです。最も多いのは、気管支炎・肺炎などの呼吸器感染症です。
そのほか、塩分や水分の摂取過多、過労、狭心症、不整脈などが引き金となり、心不全が悪化することがあります。心臓のはたらきが低下している人は、これらの誘因を避けるように注意する必要があります。
心不全の診断は、症状、身体所見と胸部X線撮影、血液検査(BNP*値など)、心電図、心エコーなどの基本的な検査によりつけられます。原因と重症度を知る上で、心エコーは特に重要な検査です。心不全の原因を明らかにするには、さらに運動負荷試験、心臓カテーテル検査、冠動脈造影検査などの検査が必要となることもあります。
*BNP;主として心室より、壁応力伸展ストレス)に応じて、速やかに生成・分泌されます。従って、壁応力が増大する心不全では、その重症度に応じて血中濃度が増加するので心不全の生化学的マーカーとして広く臨床現場で用いられています。急性心不全で緊急入院が必要な場合には500pg/ml以上に上昇したり、また、心臓移植が必要なほど重症の心不全の例では1000pg/mlを超えるこ ともあります。入院後に各種の心不全の治療を行うことによりBNP値も減少してくるので、その値を目安に薬の種類や量の調整を行います。 BNP値は 1.心疾患のスクリーニング、2.心不全の重症度評価、3.心不全に対する治療効果判定、4.心不全患者の予後予測指標などに有用とされています。 BNP値については、当院では迅速検査機を導入しており、15分程度で結果が出るので、診察時に結果をご説明できます。
心不全の治療についてですが、症状が安定しているかどうかによって、心不全は大きく二種類に分類されます。安定した状態から急激に悪化する場合を「急性心不全」、それなりに状態が安定している場合を「慢性心不全」と言います。急性心不全の場合は、今まさに起こっている症状をとらなくてはなりません。一般に急性心不全の時は、入院を必要とすることが多く、安静が必要で、酸素吸入を行ったり、一時的に心臓のはたらきを高める薬を使ったりします。慢性心不全の場合は、基本的に生命予後、生活の質(QOL)を改善させることが治療の目的になります。慢性心不全では、体内の余計な水分を取り除く「利尿剤」、心臓のはたらきを助ける「ジギタリス剤」、心臓にかかる負担を軽くする「血管拡張剤」、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制する「ベータ遮断剤」などを組み合わせて治療します。
不整脈
不整脈が発生する主な原因は、冠動脈疾患、心臓弁障害、心不全、先天性心疾患などで、多くが心臓に起因する疾患です。甲状腺異常や肺に病気がある人も不整脈になりやすい傾向があります。
しかし、心臓病等に関係無く、加齢や体質的なもの、ストレスや睡眠不足、疲労などによっても不整脈は起こりやすくなります。
また、処方薬や市販薬の中には、不整脈を誘引する成分が入っているものもあります。
心臓は1日に約10万回も拍動しており、心臓は時には規則正しくない電気信号により不規則な動きをしてしまう場合があります。つまり不整脈は誰にでも起こり得るのです。
早い脈(頻脈)
頻脈になると、ドキドキとする動悸が感じられるようになります。さらに脈が速まっていくと、心臓が全身に血液を送り出せない状態となってしまい、吐き気や冷や汗、意識消失等の症状が出てきます。
遅い脈(徐脈)
徐脈になると、フラッとしたり、めまいがしたり、意識が無くなって卒倒したりします。徐脈状態が長い間続くと、動作時に息切れをするようになります。
飛ぶ/抜ける脈(期外収縮)
期外収縮になっても自覚症状を感じない場合が多いのですが、症状を感じる場合は、脈が飛んだり、胸の周辺部分に不快感を覚えたり、胸が痛くなったりします。これらの痛みは比較的狭い範囲で起こり、あまり持続しない(数十秒以内)で解消します。
不整脈のほとんどは、実はあまり心配の無い、一時的なものが多いのですが、不整脈の中には注意を要し、より詳細な診断と、場合によっては適切な治療が必要となる場合もあります。ある特定の不整脈には、注意を要する怖いタイプがあります。これらの不整脈の場合は、専門医の適切な診断と治療が必要です。
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- 内科、循環器内科
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